先日,借りているコンテナから必要な資料を引っ張り出している中,関係ないのですが,ヴェルヌの「十五少年漂流記」が偶然目に留まり,これも一緒に持ち出しました。
今更読み返してどうなるものでもないかもしれませんが,不思議と何かその時すがるような気持ちもあり,後日読み返したんですね。
そこで何かはっきり啓示を受けるとか,劇的な心境の変化というものはありませんでしたが,久しぶりに爽やかな読後感を味わい,読んで良かったなと思いました。
ネタばれになるかもしれませんが,まあ古典的作品だから多少はいいでしょう。
15人の少年が漂着した島は,作品の中ではチリのハノーバー島ということになっておりますが。↓ですね。
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新潮文庫版では冒頭に島の地図が出ているのですが,それと見比べると,どうもピンとこない。
作中で描かれている地形が当てはまらないのですね。
読後,作品の内容よりもそちらが気になってしまいまして。
で,少し調べてみましたら,どうやらニュージーランドの東に位置する島,チャタム島であるようです。
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少年たちはニュージーランドのオークランドから誤って漂流したという設定なので,本来はハノーバー島よりチャタム島の方が自然。
島の中に湖もありますし。
ストーリー展開上,ハノーバー島にしないと具合が悪いことになるのでそうしたのでしょうが,チャタム島をモデルにしたというのは間違いなさそうです。
そもそも子供向けの読み物で,どろどろした文学作品をくぐり抜けてきたおじさんには単純過ぎるところもありますが,19世紀のヴェルヌが考えた理想,困難を打ち砕くための教訓は,そのシンプルさゆえに一層引き立ち,21世紀のおじさんの心にも響く(笑)。
「一家に一冊」という作品の一つでしょうね。
家のどこかにあるという方も多いでしょう。
久しぶりに読み返してみるのも悪くないですよ。
今は国自体が漂流しているような感じなので,特にいいかも。
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