ヘンリーダーガー 少女たちの戦いの物語━夢の楽園
2007-07-15


一時,このブログに接続できませんでした。
原因はわかりませんが,こちらに限らず,ASAHI
ネットのブログ全般が開かなかったので,何か問題
が生じたか,メンテナンスでもしていたか。
なにしろ大変失礼致しました。

えーと,ヘンリー・ダーガー。
品川の原美術館でやっておりまして。
今回の展示は,まあおとなしい方のようですが,それ
でも何か不気味さというか,奥に潜む暗黒面は感じ
られます。
私が説明するのもどうかと思いますが,簡単に申し
上げますと,まずこの方は不幸な境遇で育ったのだ
そうです。
1892年生まれ。
3歳で母親が死去。
その後父親も患い,8歳でカトリック系の施設に入所。
更には感情障害の兆候をきたし,重度の精神遅滞
児童のための施設に収容されたとパンフレットにあり
ます。
ただ小さい頃の成績は良かったらしく,所謂知恵遅れ
ではなかったようです。
心を閉ざしてしまったのでしょうか。
17歳で施設を脱走。
簡単な労働をしつつ,言ってみれば引きこもりの人生
を81歳まで貫いたようであります。
少女に対する執着が強い。
これは,母親が出産で命を落としたらしく,その時生ま
れた妹は養女に出されたと。
その妹への思いに起因するのではないかとも考えられ
ているようです。
ま,なにしろ,1万5千ページに及ぶ「非現実の王国と
して知られる地における,ヴィヴィアン・ガールズの物
語,子供奴隷の反乱に起因するグランデコーアンジェリ
ニアン戦争の嵐の物語」というお話を書いた。本文だけ
でなくタイトルも長いですが。
とにかく書いた。
発表もなにもしていない。
そして,この物語をどうしても図解したくなったようです。
ところがまあ,いきなり絵を描くというのも大変だ。
そこで新聞や雑誌などのイラストや写真を収集し,それ
らをトレースして構成するという手法を採った。
今回展示されているのは,その絵の一部です。
輪郭線が完全にトレースの線でしてね。
間近に見て驚いたのですが,結局はトレースだろうが
なんだろうが表現したかったという気持ちが凄いなと。
ま,とにかく絵もたくさん描きました。
そのために,街をうろつき,新聞や雑誌などのゴミを
集めたそうです。
絵も勿論,発表するでもない。描きたいから描いた。
ダーガーは晩年老人ホームに入ったそうですが,その
時それまで住んでいた部屋の大家がこれらの作品を
見て驚いたと。
その大家さんはネイサン・ラーナーという写真家でもあ
る人ですが,こういう人が大家さんでなかったら,もっと
雑な人であったら,妙ないたずら書きぐらいにしか思わ
ず,あっさり捨てられていたかもしれません。
このラーナー夫妻によって,本人の意思と関係なく,
ダーガー作品が世に出たと。
まあそういうことでございます。

さて。
ヘンリー・ダーガーの絵について語る時,皆さんお書き
になるので書きたくはないのですが,避けて通る訳にも
いかんという事柄。
なにしろ少女の物語なので,絵にも少女がたくさん出て
くる。
全裸であったりもする。
その少女に何故か男性器が付いているという問題。
まあカトリック系の施設にも入り,まず敬虔なクリスチャ
ンであったようです。
その上やや変わった人でもあったようなので,女性器
を知らなかったのではないかという話が出てきます。
まあ生の全裸女体は見たことがなかったかもしれませ
んが,体の構造は流石に知っていたのではないかと。
じゃあなんで女の子にちんぽを生やすかと。
これがわからない。
うんと子供の頃,まだ性が未分化の幼児の頃,そういう
空想をしたのでしょうか。
普通は思春期になりますと,そのような小さい頃の空想

続きを読む

[美術]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット